うらばなし #03

導かれし者たち その2

 旗揚げ公演を無事に成功させ、勢いに乗った団員たちは第二回公演に向けて稽古を開始。
 上演するのは『刑事☆貴族』。タイトルからわかるとおり、刑事モノである。

 このタイミングで入ってきたのがMさん。第二回公演では照明をお願いすることになったのだが、Mさんは興味あるものの幅が広く、モデルガンも所持。脚本上どうしても必要である拳銃ももらうことができ、しかも、そのままでも十分に見栄えがいいものをさらに格好よく塗装してくれた。
 また、さらにはホルスターまで持っていてくれたため、主役と準主役の刑事二人がすごく格好よくなったのだった。

                     
              写真ではわかりづらいが、阿部刑事(左)はショルダーホルスターを装着

 器用なMさんは、続く第三回公演『「夢の鉱脈』では架空の”レアメタル探知機”を製作。その予想を超えた出来は、団員たちの度肝を抜き、観客に大きなインパクトを与えた。

 また、その第三回公演から照明として加わったのがコバさん。
 ふだんの稽古では、欠席している役者の代役を務め、台詞をしゃべってもらうことが多い。中年男性でありながら若い女性役まで見事にこなし、”違和感がなさすぎて逆に違和感を感じる”と評されるほど。担当は照明ながら、稽古の時には役者陣に近いポジションで必要な存在となっている。

 第四回公演『怪談日和の雨の日に 〜冬桜狂咲〜』から仲間となったのは、ゆっきーな。
 当時としては劇団史上最年少となる彼は、初舞台で旅芸人の役を見事に演じた。この第四回公演はその役をダブルキャスト(ゆっきーなと前ちゃん)にして二公演を行ったのだが、年齢的に本来の脚本に近いのがゆっきーな。作者の思い描いていたものに近い舞台ができたのではないだろうか。
 続く第五回公演では主役の若い市役所職員を好演したのだが、本当に”役所の若手職員”である彼は、まさにハマり役だったのである。

 このように、夢波には個性と才能あふれる人材が、次々と絶妙なタイミングで現れてきた。人数こそ少ないものの、舞台創りへの熱意がある限り、これからも導かれし者が現れると信じている。

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