うらばなし #05

脚本選びの苦労 その2

 インターネットサイトで脚本が検索できるといっても、やはり劇団オリジナルの脚本を上演してみたいもの。
 その思いが結実したのが第三回公演「夢の鉱脈」。これにより、”100%手作り”の舞台を完成させることができた。

 オリジナル脚本は、(1)自分たちの思い通りの物語ができる (2)最初からキャストを劇団の役者に合わせて書くことができる (3)自由に修正することができる ――といった大きなメリットがある。
 とくに「夢の鉱脈」では、(3)のおかげでキャストの大ピンチを乗り切ることができた。その話については、「うらばなし #06 「夢の鉱脈」が一人二役のわけ」にて。

 そして、オリジナル脚本の強みが最大限に発揮されたのが第五回公演「夢の化石」。
 夢波が活動している静岡県下田市をモデルとした”伊豆海市”を舞台にした物語であり、台詞中には、美しい海、温泉、黒船、開国、キンメダイなど、下田市に関係する言葉がたくさん登場する。
 まさに”下田市民に喜んでもらうための脚本”といえるものであり、このような脚本は世界中探したって見つからないのである。

                      
                     下田市だからこそのヒーロー・開国戦士イズミダー

 さて、良いことづくめのオリジナル脚本であるが、一つだけ避けられない問題がある。
 それは、二人以上の団員が脚本を書いた場合、不採用にする脚本が出てしまうということである。脚本を書いた人間としては、当然自分のものを上演したいのだが、みんなで一つを選ばなければいけないというのは、なかなか酷なことではある。
 事実、第六回公演にあたっては三名の団員がそれぞれ脚本を執筆。そのうちの一つ「天国へのパスポート」を採用することとなったが、それは同時に残り二人の脚本は不採用となったということなわけで、別にわだかまりができるわけでもないのだが、脚本選びって厳しいなと感じるわけである。

 なお、これまでに夢波が上演した舞台の脚本は、現在、第二回公演「刑事☆貴族」と第四回公演「怪談日和の雨の日に〜冬桜狂咲〜」を除いて「はりこのトラの穴」で公開されているため、興味のある方は読んでみていただきたい。

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