うらばなし #17

衿団長&フクちゃんの大ボケ怪奇ファイル その1

 個性豊かな団員たちが集う劇団夢波。だが、その中でも団員たちが置いてけぼりにされるくらい、常人の理解を超えた行動を取る二人がいる。
 それが、今は劇団を離れた初代団長の衿と第一回公演からずっと役者で出ているフクちゃんの二人だ。

 この二人の奇怪とさえいえる行動を紹介しよう。
 なお、紹介できるのはごく一部である。あまりに奇怪な言動が多すぎて、団員たちもいちいち覚えちゃいないのだ。

ファイル1 ○○の下に隠れているんだ!
 第一回公演「街は囁いて」の中で、突如として大地震が発生し、診療所の医師が女の子に対して「いいかい。机の下に隠れているんだ!」と言うシーンがある。
 舞台稽古でこの場面を練習しているとき、衿団長の思いつきで、この台詞をみんなで順番に担当していこうということになった。

 みんなで交代で、「いいかい。机の下に隠れているんだ!」と言って練習を繰り返す。
 そして、衿団長の番になり、彼女は大声で言った。

 「いいかい。地球の下に――」


 ……どうすればいいというのでしょう。

 この事件はいまだに劇団史に残る伝説として団員たちの記憶から消えることがない。

                     
                      常に人の斜め上をゆく行動を取る二人

ファイル2 初陣
 第二回公演「刑事☆貴族」の台本読み稽古にて。
 団員の一人が台本に書いてある台詞を読んだ。「初陣です」。

 だが、その瞬間、われらが衿団長は冷ややかに訂正した。「はつじん」と。

 この後、団員全員から総ツッコミを入れられたのは言うまでもない。

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