うらばなし #25

音楽の選び方 その1

 演劇において、その場面(あるいは世界そのもの)の雰囲気を作り出すために照明と音楽がある。
 照明も使い方によりさまざまな表現が可能なのであろうが、少なくともその会場にある機器でできることには上限がある。一方、音楽はこの世界に無限といえるほどに存在する。その中から雰囲気にマッチしたものを選ぶということは、なかなか大変であり、また楽しい作業でもある。

 使用する音楽を選ぶ際には、ある意味において二通りの方法がある。
 CDなどで市販されているものを使う場合とネットで公開されているものを使う場合である。

 両者の何が違うのかというと、もちろんCDなどの場合は購入するなり借りるなりしなければならないということもあるのだが、ここで言いたいのは音楽使用料の発生の有無である。

 必ずしもではないのだが、CDなどで市販されているような曲は使用するにあたって基本的に使用料がかかる。一方、ネットで公開されている曲は使用料を取らないという場合が多い。

 うちのような小さな劇団でも、ちゃんと使用する音楽についてJASRAC(日本音楽著作権協会)に届けを出し、使用料を払わなければいけないのだが、「うらばなし #11 世の中、やっぱりお金なわけで」でも書いたとおり、うちは小さな劇団なので活動費用が厳しく、できるだけ出費を抑えなければいけない。そのため、まずは使用料のかからないネット無料公開のものをあたることが多い。

 さて、具体的な音楽の選び方などについて書いていくが、なにしろ音楽というのは個々人の感性というものがあるので、ここから先については、実際にこの記事を書いている前ちゃん個人の意見であることを記しておく。人によっては、ちがう意見を持たれる方もいるだろう。

 ”ここではこの音楽を使う”と、あらかじめ決めている場合を除き、まずはネットで無料公開されている音楽をあたってみるわけだが、意外とネット公開の音楽は使いづらいものが多い。何というか、音楽が強すぎるというか主張が大きすぎる感じがするものが多いのだ。音楽が激しいという意味ではなく、静寂や悲しみを表現する音楽であっても、”強すぎる”と感じるものが多い。
 つまり、実際に使用すると役者の演技にマッチしなかったり台詞が殺されてしまうと思われるのだ。

 これはおそらくであるが、そもそも芝居用に作られているわけでもなく、どちらかといえばホームページで流したり自作ゲームのBGMとして使用することを前提としているからだと思われる。ゲームのBGMというのは強いのだ。
 基本的にゲームには芝居とちがって(音として聞こえる)台詞がない場合が多いため、ゲーム中のキャラクターに遠慮せず音楽で世界を表現することができる。なので、ゲーム音楽をそのまま演劇で使おうとすると、役者が喋るのでミスマッチになってしまう。
 試みたことがないので断言はできないが、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーの音楽を演劇で使おうとしても、実際にいい感じで使える場面はかなり限定されるように思う。音楽自体はたいへん素晴らしいにもかかわらず。

                     
                  
写真では伝えられないが、音楽が場面を盛り上げる一例

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