うらばなし #27

音楽の作り方

 タイトルは「音楽の作り方」とあるが、作曲ということではなく、音楽の編集の仕方についてである。

 BGMと効果音は、中にはそのままでは使えない場合や編集することによってより効果を増すものがある。そのため、音楽を加工編集することはわりと多い。

 音楽の編集なんてどうやるのかと思われる方も多いだろうが、さすがインターネットの時代であって、音楽編集ソフトというものがいくつかネットで無料公開されているのだ。よくこんなものを無料で配布してくれているなあと思うほど高機能であり、演劇で使うための音楽を編集するには十分どころかお釣りがたっぷりくるくらいの多才な機能を持っている。
 音楽が不得手な素人であっても、かなり使いやすい(使うのはいくつかの機能だけなので)。

 加工編集といっても、それほど大それたことをするわけではない。
 素人なのであまり難しいことができないということもあるが、他人が著作権を持っているものを大幅に加工することはできないので、最低限の編集に留めなければならない。

 著作権を侵害しない範囲での編集とはどういうことかというと、よく行う編集は次のとおり。

<フェードインとフェードアウト>
 フェードインとは徐々に音量を上げることでありフェードアウトとは徐々に音量を下げることである。
 いきなり音楽がガンと入ってしまうとおかしい場合や雰囲気の高まりなどに合わせて徐々に音を上げていきたい場合にはフェードイン、いきなり音楽がプツンと消えるとおかしい場合や余韻を残したい場合にはフェードアウトを使う。
 フェードインやフェードアウトは、音響機器の操作でも行えるが、最初から加工編集しておいた方がよい場合もわりと多く、かなり出番の多い編集作業である。

                     
                    
    音楽を加工編集している実際の様子

<切り取りと結合>
 音楽の一部分だけを使いたい場合、複数の音楽をつなげたい場合、同じ音楽を繰り返したい場合等に行う作業。
 この作業をもっとも駆使したのは、第五回公演「夢の化石」での開国戦士イズミダーの登場シーン。さまざまな特撮番組音楽やイズミダーの台詞をいくつもつなげて一連の音を作った。
 同じ音楽を繰り返す場合というのは、元々の音楽の尺よりも使用する場面の時間が長い場合である。

<ミックス>
 二つ以上の音楽を重ねること。
 複数の音楽をミックスしてしまうことは著作権の侵害にあたるおそれが強いので行わないが、音楽の途中に効果音や録音した台詞を入れる場合に使用する。

 これまでの公演でもっとも音楽編集が効果を発揮したのは第四回公演「怪談日和の雨の日に〜冬桜狂咲〜」である。廃寺で起こる奇怪な現象を表現するため(脚本上でもある程度の指定がされており)、不気味な音楽を作ることとなった。これについては団員のMさんが大活躍。子どもたちの笑い声が不気味に聞こえる音楽はかなりの怖さを醸し出したのだが、Mさん自身、夜に一人で編集していて怖かったという。

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